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【プレスリリース】心臓シミュレータの事業化プロジェクトが⽇本医療研究開発機構(AMED)事業に採択

先天性の心臓疾患の小児にむけた最適な術式決定を支援する心臓シミュレータ“ped UT-Heart”の開発と事業化プロジェクトが⽇本医療研究開発機構事業(AMED)に採択され、今後治験とサービス開発実施

PIA株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:中西聖、以下PIA)と、ジャパンメディカルデバイス株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:岡野貴史、千葉修一、以下JMD)は、⽇本医療研究開発機構(AMED)事業「⼩児先天性⼼疾患患者の救命とQOL改善を⽬指した最適な術式決定を⽀援する⼼臓シミュレータ“ped UT-Heart”の開発と事業化」に、PIAが代表機関、JMDが分担機関として採択されました。これまでのped UT-Heart研究開発の成果を前進させ、本事業期間内で治験を実施し、サービス検証とサービスデザインを進めていき、医療機器の承認申請を目指します。

■背景、ニーズ
 先天性⼼疾患は出⽣ 100 ⼈に 1 ⼈に発症し、新⽣児乳児に死亡をきたす最も頻度の⾼い疾患です。対象となる⼩児の⼼臓は⼩さく、⽴体構造が極めて複雑で、病変のバリエーションが⼤きいことから、外科治療は困難を極めています。また患者は術後も遺残症や続発症に悩まされ、⻑期の⽣活の質(QOL)は満⾜のゆくものではありません。
 従って先天性⼼疾患の外科治療では、単に患者を救命するだけでなく、成⻑する⼩児患者の⻑期にわたる QOL を良好に維持することを前提に治療⽅針を決定しなければなりません。そのためには⼿術前に術後の⼼臓機能を含めた循環動態を適切に予測し、治療⽅針を決定する必要があります。
 しかし術式決定のための解剖学的・⽣理学的なエビデンスは⼗分でなく、多くは⼼臓外科医の経験と勘に頼っているのが現状です。

■⼼臓シミュレータとped UT-Heartの開発
 東京⼤学および(株)UT-Heart 研究所では、コンピュータを使ったシミュレーションモデルにより、患者の⼼臓を分⼦・細胞機能を基に in silico で忠実に再現できる、世界でも類を⾒ない⼼臓シミュレータ“UT-Heart”を開発しました。
 コンピュータ上に再現される患者の⼼臓モデルを⽤いると、実際の⼿術前に様々な仮想的⼿術を試⾏することで術後の⼼臓機能を含む⾎⾏動態を予測することができ、患者に最も適した⼿術⽅法を選択するテーラーメイド医療を実現できます。
 この“UT-Heart”システムを基盤に、⼩児先天性⼼疾患の解析に特化した新たなシステム “ped UT-Heart”の開発を2020年にスタートし、これまで、有⽤性評価のための多施設での臨床試験を実施しました。

■ped UT-Heartの特⻑
 ped UT-Heartは、構造や⾎⾏動態が極めて複雑な⼩児の先天性⼼疾患の⼼臓外科⼿術に際し、患者の術前の臨床情報から、考えられる複数の⼿術術式の術後⼼機能や循環動態を定量的に予測することができるシミュレータです。
 ⼼臓外科医が⾃らの経験や主観のみで⼿術術式や治療⽅針を決めるのではなく、患者の臨床情報を⾼機能コンピュータで客観的に分析し、その結果から適切な⼿術術式を提案することで、適切な外科⼿術の⽀援を⾏うシステムです。
 ⾼度な技術と卓越した臨床経験を必要とする⼩児先天性⼼疾患の⼼臓外科⼿術を、患者の臨床データに基づき数理計算される客観的な判断材料を提供することで⽀援するものであり、術前に考えられる複数の⼿術の術後の状態を予測し、外科医はその中から最良のものを選択することができるため、先天性⼼疾患患者の救命率の向上、⻑期予後の改善、⽣涯にわたる⽣活の質の改善につながります。

■ped UT-Heartの効果
 本機器の使⽤により、外科医が患者に最も適した⼿術術式を選択できる可能性が⾼くなり、その結果、技術的に困難な先天性⼼疾患の⼿術の救命率を⾼めるだけでなく、術後の遺残症や続発症を少なくすることで、患者の⽣涯にわたる QOL の改善を⽬指します。

■今回のプロジェクト
 本プロジェクトは、2020年7月から2023年3月の間、AMEDの「先進的医療機器・システム等技術開発事業 (基盤技術開発プロジェクト)」に採択されており、今回、連続でAMEDに採択されたことになります。今回認められた期間は、2023年4⽉から2026年3⽉までです。これまでの臨床試験による有効性検証の結果を基に、今後は治験を⾏い、並⾏してサービス提供体制の構築、クラウドサービスとしてのデザインを⾏い、サービスのQMSを整えることで、医療機器承認を⽬指します。

■サービスの姿
 ped UT-Heartによる臨床判断⽀援サービスは、クラウド形式のサービスとして提供する予定です。これにより医療機関は機器の導⼊や専⾨技術者等を配置することなく、従来の医療データを提供するだけでシミュレーション結果を得ることが可能です。
 JMDでは、医療機関からアップロードされたデータを基に、必要な画像処理を⾏い、⼼臓シミュレータで解析を⾏い、解析結果を基に医療観点からレポートを作成、その結果を医師に提供します。

■⽬指す社会像

 本シミュレータが広く世界中で利⽤されると、⼿術が極めて難しい複雑先天性⼼疾患患者が、⼀⼈⼀⼈の術前の⼼臓形態と⾎⾏動態から数理計算に基づいて予測される最善の外科⼿術を受けることが可能となります。その結果、⼿術による救命率が向上するとともに、術後も⽣涯にわたり良好な QOL を継続し、要医療状態や再⼿術や突然死の危険を回避できるようになり、社会全体の医療費の抑制にも寄与することが期待されます。

■プロジェクト概要

  • 研究開発課題名  ⼩児先天性⼼疾患患者の救命と QOL 改善を⽬指した最適な術式決定を⽀援する⼼臓シミュレータ“ped UT-Heart”の開発と事業化
  • 公募名(事業名) 医⼯連携イノベーション推進事業 開発・事業化事業
  • 研究開発期間   令和5年4⽉1⽇ 〜 令和8年3⽉31⽇(3年間)
  • 研究開発代表者  白石公 (PIA株式会社)
  • 代表機関     PIA株式会社
  • 分担機関     ジャパンメディカルデバイス株式会社、国⽴研究開発法⼈ 国⽴循環器病研究センター、国⽴⼤学法⼈ 東京⼤学新領域創成科学研究科、株式会社 UT-Heart 研究所、株式会社クロスメディカル

■ジャパンメディカルデバイス株式会社(JMD)について
 JMDは、東京⼤学と富⼠通株式会社が10年以上の年数をかけて、理化学研究所のスーパーコンピュータ上で作り上げた⼼臓シミュレータ(UT-Heart)を活⽤した、新たな医療機器コンピュータシミュレーションサービスを研究開発し、提供する会社です。

 ⼼臓シミュレータは、CTや超⾳波画像を含む臨床データをインプットデータとし、スーパーコンピュータの演算能⼒を活⽤して、分⼦レベルの電気的・⼒学的挙動を計算することで、個⼈の⼼臓の動きを忠実に細かい部分まで再現できる、世界最⾼峰のテクノロジーです。

 医療領域の精密なシミュレーションには、医学的知⾒を⼯学的に表現し(医⼯連携)、最新コンピュータを駆使し最⾼速で計算する(計算機科学)ための最先端スキルとノウハウが必要です。JMDは、これらを有し、さらに、演算に先駆けての医療データ処理およびシミュレーション結果の画像化(プレ・ポスト処理)を含めた、ワンストップのクラウドサービスを構築し提供するすべく、国内最⾼峰の研究機関・実証機関と連携し開発を進めております。

 ⼼臓シミュレータ技術とAIそのほかの技術を兼ね合わせ、⼼臓疾患の検証や予知、そのほかの医療や健診サービスなどへのサービス提供を通し、医療の質の向上を⽬指します。

ホームページ https://jmd-corp.com

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